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マハーバリ(Mahabali, デーヴァナーガリー表記:महाबली)もしくはバリ(Bali)とは、主にインド神話に登場するアスラの王である。2つの絵をみてもわかる通り、マハーバリは皮膚の色は白くほぼ人間と同じ姿をしている。名前に付いているマハーとは「偉大な」を意味する敬称である。ダイティヤ族であり、同じくアスラ王であるヴィローチャナを父に、プラフラーダを祖父に持つ。また、ダイティヤ族の守護女神であるコータヴィーを妻とする。ヴィンディヤーヴァリーもマハーバリの妻である〔菅沼晃編 「インド神話伝説辞典」東京堂出版 1985,p90(「ヴィンディヤーヴァリー」)〕。コータヴィーとマハーバリは子バーナースラをもうけた。 ==概要== マハーバリは天界の王インドラとの戦いで命を落とした父ヴィローチャナにかわり祖父プラフラーダの下で育てられた。プラフラーダは最高神ヴィシュヌに帰依して大悟を得たアスラであり、祖父の薫陶を受けたマハーバリは長じて地底界を治め、公正で献身的な王となった。やがてマハーバリは父の仇を討つべく天界に軍を進め、インドラ率いるデーヴァ神族を掃討して、天界・空界・地上界の三界を掌握した。彼の治世は喜びに満ち、世界はあまねく光り輝いて富にあふれ、三界のどこにも飢える者はなかったという。 インドラを含むデーヴァ神族は戦争に負けたため今度は逆に天界から追放された。インドラを不憫に思った神々の母アディティはヴィシュヌに祈りを捧げ、それを聞き届けたヴィシュヌは女神アディティの胎内に入り、彼女の夫カシュヤパとの間の息子として転生した。それがヴィシュヌの第5のアヴァターラ、ヴァーマナ(Vāmana)であった。 ある時ヴァーマナは、バラモンの乞食の少年の姿になり、マハーバリを讃える祭へ出かけた。そこでマハーバリは多くの人々に施しを与えており、自分の前に進んできたヴァーマナにも望む物を尋ねた。ヴァーマナの望みは、自分が歩いた3歩分の土地であったので、その程度ならとマハーバリは快く承諾した。彼の師である聖仙ウシャナー(アスラグル・シュクラチャリヤ)はヴァーマナがヴィシュヌの化身である事を見抜き、施しを止めるよう警告したが、ダルマを重んじるマハーバリは「例え敵であったとしても、一度交わした約束を反故にする事ほど罪深い事はない」と言って取り合わなかった。 そしてヴァーマナが脚を踏み出すと同時にその身体は巨大化し、まず1歩目で地上の全てを、2歩目で空界と天界の全てを跨いだ。2歩にて全宇宙の全てを跨ぎ、もはや3歩目を踏み降ろす場所を無くしたヴァーマナの前に、マハーバリは「3歩目の領地」として最後に残された領地である自身の頭を差し出した。 自身を差し出しても尚約束を守ろうとするマハーバリの徳性にヴァーマナは感服し、彼を許した。ヴァーマナは次代のマヌヴァンタラ(マヌの時代)における天帝の地位をマハーバリに約束し、地底世界の一つスタラをそれまでの領地として与えた。 マハーバリは現在もスタラにて親族と共に現世の安寧を祈っていると言われている〔マハーバリとヴァーマナの神話は様々なパターンが存在し、マハーバリはヴァーマナから地下世界を守る為に3歩目の下に自分の頭を置いたとも言われ、あるいはこの時マハーバリは落命し、その体が純粋な帰依心によって聖別され、さまざまな宝石に化したとも言われている。また、ヴァーマナは偉大な皇帝マハーバリのただ一つの欠点であった「エゴ(国民を幸せにしたいというエゴ)」を取り除き、解脱させる為に現れたとも言われている。〕〔山際素男編訳「空っぽの部屋のバリ」『マハーバーラタ 第7巻』第51頁にて、バリは空っぽの部屋で驢馬の姿となり、インドラ(帝釈天)と対話し、己の権勢を自慢しバリの逆境を嘲笑するインドラ神を諌めている。また池田運訳「ナムチ魔神と天帝が、対話の中で語った死魔王の威力」『マハバーラト 第3巻』第868頁では、ある山の洞窟の中で瞑想するバリの前にインドラが現れ、権威を失ったバリを嘲笑し、それをバリが諫めている。いずれの訳書においてもバリは権威を誇ることの虚しさを説き、そのまま権威に囚われていればやがて失う時の悲しみに耐えられないだろうとインドラを諭している。(それぞれの訳書で細部が異なっているのは、マハーバーラタ自体に二つのパターンのバリとインドラの対話が収録されているためであり、それぞれの訳者がどちらか一方のみを訳した為である)〕。 またマハーバリは一年に一度、彼の国民の繁栄を保障すべく現世へ戻って来ると信仰されており、インドの南部ケーララ州では彼を讃えるオナムというお祭りが毎年開かれている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「マハーバリ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Mahabali 」があります。 スポンサード リンク
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